設備のしくみ
5号発電設備
5号発電設備は、日本製鉄株式会社東日本製鉄所の副生ガス(高炉ガス・コークス炉ガス)を燃料とし、ガスタービンと蒸気タービンの2つの熱サイクルを複合(コンバインド)させた高効率コンバインドサイクル発電の採用により、熱効率50%(LHV:低位発熱量基準)を達成し、従来型汽力発電(3,4号発電設備)に比べて熱効率を約2割向上することで、エネルギーの有効活用と二酸化炭素排出量の削減を実現する発電設備です。
1.高効率コンバインドサイクル発電の採用
- 製鉄所の副生ガス(高炉ガス・コークス炉ガス)を燃焼器で燃焼させて、1,300℃の高温・高圧の燃焼ガスを作り、ガスタービンを駆動して発電します。さらに、ガスタービンで使い終わった約550℃の排ガスで蒸気を作り、蒸気タービンを駆動して発電します。高温域の熱エネルギーをガスタービンで、低温域の熱エネルギーを蒸気タービンで利用し、高温から低温までエネルギーをくまなく利用することで、従来型汽力発電に比べて熱効率を大幅に向上しました。
2.1,300℃級ガスタービンの採用
- コンバインドサイクル発電の出力・熱効率向上において、最も重要な指標は、ガスタービン入口温度です。ガスタービン入口温度が高くなれば、高温から低温まで熱落差を大きく取ることができ、より多くのエネルギーを利用できるからです。
- 鹿島共同発電所5号機では、副生ガス燃焼ガスタービンとしては、世界最高レベルの1,300℃級ガスタービンを採用することにより、出力30万kW,熱効率50%(LHV)の大容量・高効率コンバインドサイクル発電を実現しました。
- ガスタービン入口温度向上のために、1,300℃の燃焼ガスにさらされる燃焼器や動翼・静翼の高温部品には、
- ①ニッケルを主成分とした超合金の開発など「耐熱材料技術」
- ②冷却空気を流して効率よく金属を冷却する「冷却技術」
- ③高温での酸化腐食を防ぐ「耐酸化・耐食コーティング技術」
- ④熱を遮断し金属の温度上昇を抑える「遮熱コーティング技術」
- など、様々な技術が適用されています。
- ガスタービンで通常使用されるLNG(天然ガス)と比べて、1/10程度の低カロリーで燃焼性の低い副生ガスを安定して燃焼させるため、燃料と空気の比率を適正化する燃焼用空気バイパス弁機構や燃料ノズルの形状など、低カロリーガス向けに設計された燃焼器を採用しています。
3.環境負荷の軽減
- 排熱回収ボイラーに排煙脱硝装置を設置し、排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)を除去した後、地上高120mの煙突から排出しています。
- 二酸化炭素排出量は、燃料を消費した量に比例しますが、高効率コンバインドサイクル発電を採用することにより、従来型汽力発電と比べて約2割熱効率が向上することで、燃料消費量を約2割削減することになり、二酸化炭素排出量の抑制につながります。